フェローシップ制度
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フェローシップ制度
(社内外・国内外への派遣・留学をし技術習得を支援する制度)
受講者:室井先生レポートvol.16

活動報告

関税政策と社会情勢のニュース

8月はアメリカ国内の経済・社会に関するニュースが注目を集めました。新たに発表された関税政策は、多くの輸入品に追加関税を課すもので、国内の物価上昇が一層加速するのではないかと懸念されています。

アジア系の食材を扱うお店で買い物をする機会が多い私自身、日々の生活への影響を注視しています。短期的な国内産業保護が目的とされていますが、消費者にとっては生活必需品や日常品の価格高騰につながる可能性があり、今後の動向が気になるところです。

また、社会面では、ウクライナからの移民女性がアメリカ国内で刺殺されるという痛ましい事件も報じられました。移民の増加や地域社会との摩擦、治安悪化の懸念など、アメリカ社会が抱える課題が改めて浮き彫りとなりました。留学生活を送る上で、日常的な安全確保と危機管理の重要性を再認識させられる出来事でした。

一時帰国とビザ更新

8月は一時的に日本に帰国し、ビザの更新を行いました。6月にF・M・Jビザの新規面接受付が一時停止されたこともあり、更新手続きには一抹の不安が残っていましたが、幸いにも大きな問題なく更新と再入国を果たすことができました。

入国審査の場面でも質問は簡潔で、研究活動や滞在目的を説明した上でスムーズに入国が認められ、安堵しました。短い間でしたが、日本食、特に価格がリーズナブルで高品質な牛丼とうどんを存分に堪能でき、良いリフレッシュ期間となりました。

ACVS年次学会に向けた発表準備

研究活動においては、10月にシアトルで開催されるACVS(American College of Veterinary Surgeons)年次学会での発表準備を本格的に進めています。

発表テーマは「犬の脛骨骨欠損モデルにおける直交配置ロッキングプレートとプレート・ロッド構成の生体力学的比較」に関する研究成果です。既に投稿を終えた論文の内容をベースに、学会発表用に分かりやすく視覚化したスライドの作成や、英語での発表原稿の推敲を行っています。限られた時間で聴衆に研究の要点を伝えるために、専門的なデータの提示と平易な解説のバランスをどう取るかが課題です。

国際的な研究者との交流や議論の機会となるため、大きな挑戦であると同時に、今後の研究活動をさらに広げる契機になると考えています。

私生活でのリフレッシュ

キャンパスは引き続き夏季休暇中のため、街全体が静かな雰囲気に包まれており、この落ち着いた環境は発表準備を進める上で大変有効でした。

また、週末にはサクラメントバレーでハイキングを楽しみました。乾燥したカリフォルニア特有の風景の中で、広大な空と山並みを眺めながら歩くことで、心身をリフレッシュすることができました。日本の山歩きとは異なり、地形や植生のスケール感が非常に大きく、自然環境の多様さを実感する貴重な機会となりました。

総括

8月は、国際経済や治安に関するニュースを背景に、改めてアメリカ社会の複雑さに触れる一方で、研究活動に必要なビザ更新を無事に完了させることができました。また、10月の学会発表に向けた準備を進めながら、現地での生活や自然体験も充実させることができました。

研究・生活・国際的視点のいずれにおいても多くの学びを得た月であり、今後もこの経験を活かし、専門性を高めるとともに、国際的な視野を養っていきたいと考えています。

サクラメントバレーでハイキング中に撮影した景色

暑すぎて項垂れているリス

室井 謙宏

プロフィール:
日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業
日本獣医生命科学大学付属医療センター 整形外科研究生
日本獣医生命科学大学 獣医外科学教室大学院生
日本獣医生命科学大学 獣医学博士号取得
イオンペット動物病院 勤務

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