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フェローシップ制度
(社内外・国内外への派遣・留学をし技術習得を支援する制度)
受講者:室井先生レポートvol.15

8月の活動報告

カリフォルニア州での花火工場爆発事故

7月のアメリカ関連ニュースとして、カリフォルニア州Yolo郡で発生した花火工場の爆発事故が挙げられます。現地では夏季特有の乾燥した気候が続き、湿度が低く、日中の気温が連日35℃を超える日が多くなっていました。このような乾燥環境は火災の延焼リスクを高める要因となり、今回の爆発でも周囲への延焼が懸念されました。

爆発は製造工程中に発生し、大きな衝撃音とともに黒煙が上空に立ち上りました。発生直後には工場内外で火災が発生し、一部の建物が全焼しましたが、消防隊の迅速な消火活動と周辺住民の避難により、被害は最小限に抑えられました。それでも数名が負傷し、近隣地域では一時的に道路の封鎖や避難指示が出される事態となりました。

日本でも花火製造に伴う事故は時折報じられますが、カリフォルニアの広大な土地と乾燥した気候が組み合わさることで、被害の広がり方や対応の難しさがより際立つことを実感しました。このような現地の出来事を通じ、自然環境や地域特性が災害対応に与える影響について改めて認識する機会となりました。

論文投稿:研究成果の発信

7月には、これまで継続してきた研究成果をまとめた論文「Biomechanical analysis of orthogonal plating and plate-rod combination in a canine tibial fracture gap model」を、伝統ある獣医学雑誌へ投稿しました。

本研究では、大型犬の脛骨骨欠損モデルを用い、以下の4種類の固定法を比較しました:

  • 単一のロッキングプレート
  • プレート+髄内ピン
  • 2種類の直交配置ロッキングプレート

非破壊および破壊試験を通じて、屈曲・ねじり剛性、降伏モーメント、破壊特性を評価した結果、直交配置ロッキングプレートが最も高い剛性と耐性を示し、他の方法より機械的優位性を持つことを明らかにしました。一方、プレート+髄内ピン構成は、より大きな降伏角を示し、弾性変形に富む特徴が認められました。

論文投稿にあたっては、データ解析の最終確認、図表の作成、共著者間の校閲を複数回行い、投稿規定に沿ったフォーマットへ整えるなど、多くの工程を経て原稿を仕上げました。論文投稿後は査読者からのコメントを待ち、必要に応じて修正や再投稿を行います。このように、1つの論文を完成させるには多大な時間と労力を要しますが、この過程は国際誌への投稿経験として非常に貴重であり、学術的発信力や論文構成力の向上に大きく寄与すると感じています。

夏季休暇中の落ち着いた研究環境

大学キャンパスは学生が夏季休暇に入り、街全体が静かな雰囲気に包まれました。普段は混雑するカフェや図書館も比較的空いており、研究や執筆作業に集中できる環境が整っていました。このような落ち着いた環境は、論文執筆や今後の研究計画の整理を進める上で非常に有効であり、効率的に作業を進めることができました。

私生活でのリフレッシュ

私生活では、研究の合間に映画『スーパーマン』を鑑賞しました。スーパーヒーローが困難に立ち向かう姿は、研究や臨床現場における粘り強さや使命感とも共通する部分があり、精神的なリフレッシュだけでなく、モチベーションの向上にもつながりました。研究や臨床活動を進める中で、こうした娯楽を取り入れることの重要性を改めて実感しました。

総括

以上のように、8月は研究活動において重要な節目である論文投稿を達成するとともに、落ち着いた環境で次なる課題に向けた準備を進めることができました。また、現地での社会的出来事や文化に触れることで、学術的な視点だけでなく、多角的な視野を広げる機会にも恵まれました。研究面では学術的発信力を向上させるとともに、私生活では適度にリフレッシュを図り、充実した月となりました。今後もこのような経験を活かしながら、専門性を高めるとともに、国際的な視点を養っていきたいと考えています。

室井 謙宏

プロフィール:
日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業
日本獣医生命科学大学付属医療センター 整形外科研究生
日本獣医生命科学大学 獣医外科学教室大学院生
日本獣医生命科学大学 獣医学博士号取得
イオンペット動物病院 勤務

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