フェローシップ制度
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フェローシップ制度
(社内外・国内外への派遣・留学をし技術習得を支援する制度)
受講者:室井先生レポートvol.12

4月の現地ニュースとして、UC DavisではF-1ビザを所持していたにもかかわらず、23人の学生が滞在ステータスを取り消されるという事態が発生しました。しかし、5月に入ってから再度滞在許可が降りたことが確認されています。一連の問題については、ビザ取り消しの原因や再許可の詳細な理由が公表されておらず、依然として不明な点が多く残っています。また、外国人にはアメリカへの滞在登録が義務づけられており、合法的な滞在を証明する書類の常時携帯も求められています。このような状況を踏まえ、今後も政府の動向を注意深く見守り、法令に則った滞在を継続する必要性を痛感しています。制度の変化は突然起こる可能性があるため、常に最新の情報に目を向け、大学からの通知や領事館からの案内を逐次確認するよう心掛けています。

前回の報告書に引き続き、犬の人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty, TKA)のトライアルに参加しました。この試技では、実際の犬の骨格に基づいて3Dプリンターで作成された骨モデルを使用し、最新のインプラントおよび手術器具を用いて実施されました。私は実際の手技にも関与させていただき、インプラントの設置手順を間近で見学・補助することで、手術の流れや注意点について深く学ぶことができました。また、手術に使用された器具やインプラントの設計が動物に最適化されている点に、工学的視点からの工夫を感じ、大きな感銘を受けました。日本では小動物の関節置換術はまだ限られた施設でしか行われておらず、今後の導入に向けた知識の蓄積が求められています。

日常生活では、今年に入ってから自転車のパンク修理に4回も挑戦するという経験をしました。UC Davisキャンパスやその周辺では自転車が主要な移動手段であり、私自身も日々の通勤や買い物に活用しています。今年はすでに4回のパンクに見舞われ、その都度修理キットや新品のチューブを使って対応しました。最初の3回は路上に落ちていた小さなガラス片が原因で、4回目は原因不明でした。現在は耐パンク性の高いタイヤに交換し、ようやく安定して走行できるようになりました。こちらでは運動が生活に密接に取り入れられており、サイクリングやマラソンが一般的です。アメリカ人の友人に相談した際には、パンクの対処法だけでなく、タイヤの交換方法やブレーキ調整のコツまで教えてもらい、大変助かりました。アメリカの路上には日本と比較してさまざまなものが落ちているため、こうした経験を通じて必要なスキルを身につけることができました。

4月はカリフォルニアでも春本番を迎え、地域各地でさまざまなイベントが開催されていました。週末にはエルクグローブで「アスパラガスフェスティバル」、サクラメントではファーマーズマーケットが開かれ、地元の農家が新鮮な野菜や果物、自家製パン、手作りジャム、工芸品などを販売していました。私はアスパラガスの天ぷらのようなスナックを試食しましたが、油の多さに少し胃がもたれてしまいました。味の好みはともかく、地域と直接つながれるこうしたイベントは、日々の生活に楽しさと発見をもたらしてくれます。また、マーケットでは地元の住民と簡単な会話を交わすこともでき、文化的な交流の場としても価値ある体験でした。

また、UC Davisキャンパス内では「ピクニックデー」という年に一度の伝統行事が開催されました。このイベントは地域住民にも開放され、各学部が研究紹介やパフォーマンス、動物ふれあい体験などを行う大規模な催しです。私も獣医学部の展示に参加し、研究紹介やデモンストレーションを見学しました。キャンパス全体が祝祭ムードに包まれ、学生と地域のつながりを感じられる素晴らしい経験でした。ただし、イベント当日には発砲事件も発生し、死傷者が出るという悲しい出来事もありました。このような人が多く集まる場所では、常に安全に注意する必要があるという現実を痛感させられる機会となりました。今後は、どのような場面でも危機管理意識を持ち、冷静に行動することの重要性を改めて認識しました。

以上が4月の主な活動報告となります。今後も現地での経験を最大限に活かし、最新技術の習得と国際的な視野の拡充に努めてまいります。

パンク修理中の自転車

アスパラガスが立てられているだけの
アスパラガスフェスティバル

室井 謙宏

プロフィール:
日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業
日本獣医生命科学大学付属医療センター 整形外科研究生
日本獣医生命科学大学 獣医外科学教室大学院生
日本獣医生命科学大学 獣医学博士号取得
イオンペット動物病院 勤務

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